プットイン課題を手作り|転がりにくい円柱ピース
数を数えるプットイン課題は、ずっとビー玉で作ってきました。ただ、直径は16mm。口に入れる心配がある場面では使えません。
玉を大きくすればいい、とも限りませんでした。別に作ったピンポン玉の課題について、就労支援施設の職員さんから、転がるので使いづらいという話をいただいたからです。そこで今回は、大きさではなく形のほうを変えました。
作ったのは、直径33mm・高さ20mmの円柱のピースです。平らな面を下にして置けば、その場にとどまります。球のように、どの向きにも転がることはありません。
筒とリングのしくみは、そのまま残しています。変えたのは、ピースの形と、何個入ったかの見え方です。赤1色から始めて、慣れたら赤・青・黄の3色に広げられます。

ビー玉から始まった
数を数えるプットイン課題は、これまでずっとビー玉が前提でした。
ビー玉は100均で手に入り、大きさがそろっていて、設計もしやすい素材です。ただ、直径は16mm。口に入れる可能性のある方には渡せません。
この課題は、透明な筒の長さで「何個入れたか」が分かる仕組みです。筒にはめるリングに数字と●が書いてあり、いくつ入れるかを指示できます。
このしくみは残したまま、中に入れるものだけを替えたいと考えました。
ピンポン玉でも残った
玉を大きくする方向では、ピンポン玉版を作っています。直径は約40mm。ビー玉の2.5倍です。
⚠️ ただしピンポン玉版は、転がして遊ぶための課題です。数を数える課題ではありません。
そのあと、就労支援施設の職員さんから、転がるので使いづらいという話をいただきました。
机に置くと動きます。手から落ちると、床を転がっていきます。拾いに行く時間が増えて、課題の前後に手間が足されてしまいました。
大きさは変えられます。でも、丸い形はそのままでした。
丸から、円柱に変えた
入れるものを、直径33mm・高さ20mmの円柱にしました。3Dプリンターで印刷しています。
転がりにくい形にした
平らな面を下にして置いているあいだは、転がりません。直径33mmに対して高さ20mm。底が広くて背が低いので、立てた姿勢が安定します。

球はどの向きにも転がりますが、円柱が転がるのは横に倒れたときの1方向だけです。机の上で動く範囲が、ぐっと狭くなりました。
何個入れたかが見える
同じ色を続けて入れると、境目が分かりません。3個入っているのか4個入っているのか、外から見ても数えられませんでした。
そこで、筒のほうに幅1mmの黒い線を入れました。別の部品を貼ったのではなく、印刷の途中で色を替えています。

線を1本こえるたびに1個で、いま何個入っているかが外から数えられます。

指で持てる厚さにした
プレートは厚さ25mmにしました。指でつまんで持ち上げられる厚さです。別の部屋で使いたいときに、立てたまま運べます。

筒にはめるリングは、前の記事のΦ46からΦ63×4mmに作り直しました。筒の外径Φ40に合わせたためです。
リングには数字と、その数だけの●を同じ面に書いています。数字で読む方にも、●を数える方にも、同じ1枚で指示を出せます。

あえて残した動き
筒にピースを入れると、空気が抜けにくく、ゆっくり落ちていきます。
速くするなら、穴を開けるか、側面に溝を足す方法があります。
でも、ここは変えませんでした。入れたピースが、ゆっくり落ちていく。その待つ時間ごと、この課題に残しておきたいと思ったからです。
使い方は、赤1色から
はじめは、赤1色だけ
最初に用意したのは、赤いピース15個です。1個用から5個用まで、筒5本をちょうど埋められる数にしました。
3色そろえてから渡すこともできました。ただ、それだと色と数の両方を、いちどに見ることになります。
だから、まずは赤だけ。見るところは「何個入れるか」の1つになります。増やすのではなく、いったん減らしたところから始めます。

慣れたら、赤・青・黄の3色に
色を足すと、「指示された色を、指示された数だけ入れる」課題になります。
リングも赤・青・黄の3色を用意しました。リングの色が、入れるピースの色です。「2番の筒に、黄色を2個」を、言葉を足さずに置くだけで伝えられます。
青と黄は7個ずつにしました。5個ずつだと、組み合わせが限られたためです。

作り方

設計は FreeCAD で行いました。
材料と費用
| 重さ | 費用 | |
|---|---|---|
| プレート(白) | 70g | 140円 |
| ピース 赤15個 | 95g | 190円 |
| ピース 青7個 | 45g | 90円 |
| ピース 黄7個 | 45g | 90円 |
| リング(赤・青・黄×1〜5) | 66g | 132円 |
| 筒(1個用〜5個用) | 50g | 100円 |
| 合計 | 371g | 742円 |
※ PLA 1gあたり2.0円で計算しています。
ビー玉もピンポン玉も使わないので、印刷するだけでそろいます。
使用したフィラメント PLA(赤・青・黄色・透明・黒・白)
今回の部品はすべてPLAフィラメントで作っています。扱いやすく失敗しにくいので、初心者の方にもおすすめです。
私が実際に使用しているフィラメントはこちら👇(Amazonで約2,000円)
印刷時間
| 時間 | |
|---|---|
| プレート(白) | 1時間50分 |
| ピース 赤 | 2時間40分 |
| ピース 青 | 1時間20分 |
| ピース 黄 | 1時間20分 |
| リング(赤・青・黄×1〜5) | 2時間36分 |
| 筒(1個用〜5個用) | 2時間 |
| 合計 | 11時間46分 |
色を替えるために手を入れるのは11回、合わせて約33分でした(リング3回・筒8回)。印刷そのものは待っているだけですが、ここだけは手が要ります。
サイズ
| ピース | Φ33 × 高さ20mm |
| 筒 | 外径Φ40・5種類(20mm刻み=1個用〜5個用)。ピース1個分ごとに幅1mmの黒い線 |
| リング | Φ63 × 4mm・赤青黄×1〜5の15枚 |
| プレート | W226 × D46 × 厚さ25mm・5レーン |
ピースの大きさと玩具の基準
3歳未満向けの玩具には、小さな部品を使えないことになっています。基準は、内径31.7mmの筒に丸ごと入るかどうかです。
このピースは直径33mmなので、この筒には入りません。(出典:経済産業省)
【対象年齢】3歳以上。3歳未満のお子さんには渡さず、大人が見守れる場面で使ってください。
ビー玉版との使い分け
| ビー玉版 | 円柱版(この記事) | |
|---|---|---|
| 入れるもの | 直径16mmのビー玉 | Φ33×高さ20mmの円柱 |
| 置いたとき | どの向きにも転がる | 平らな面を下にすれば、とどまる |
| 何個入れたか | 筒の長さで分かる | 筒の長さ+黒い線で1個ずつ分かる |
| 買う物 | ビー玉 | なし(全部印刷) |
| 本体サイズ | 小さい | W226 × D46 |
まとめ
- 円柱にしたら、平らな面を下にして置くあいだは、その場にとどまるようになりました
- 筒に入れた幅1mmの黒い線で、何個入れたかが見えるようになりました
- 赤1色から始めて、慣れたら赤・青・黄の3色に広げられます
玉の大きさを変える方法から、形そのものを変える方法に切り替えました。同じしくみのまま、中身だけ入れ替えられるのは、3Dプリンターでよかったところだと思います。
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施設でグッズづくりが間に合わない方へ
「うちの事業所でも3Dプリンターを入れられますか」と聞かれることが増えました。何が作れて何が作れないか、材料費と印刷時間の実測値をまとめています👇

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