3Dプリンターのフィラメント|選び方と湿気・糸引き対策
3Dプリンターを買ったあと、
・どのフィラメントを選べばいいの?
・CADとスライサーは何を使えばいいの?
・うまくプリントできないのはなぜ?
と悩んだことはありませんか?
どれも、始めたばかりの頃につまずきやすいポイントです。
この記事を読めば、「とりあえずこれでOK」という基準がわかり、失敗を減らしながら3Dプリンターを楽しめるようになります。
フィラメントの選び方
4種類の違い
| 種類 | 特徴 | おすすめ用途 | 温度(ノズル/ベッド) | 初心者向け |
|---|---|---|---|---|
| PLA | 失敗が少ない・においが少ない・扱いやすい・原材料は植物性 | 室内用の小物・試作品 | 200〜220 / 50〜60℃ | ◎ |
| PETG | しなりがある・強度がある・折れにくい | 耐久性が必要なパーツ・実用部品 | 230〜250 / 70〜80℃ | ○ |
| TPU | やわらかい・ゴムのような質感・印刷速度を遅くする必要あり | クッション・滑り止め・柔軟パーツ | 220〜235 / 40〜50℃ | △ |
| ABS | 耐久性がある・屋外向け・反りやすい | 屋外使用・強度が必要な部品 | 230〜250 / 90〜110℃ | △ |
用途別|作例で選ぶ
「結局どれを使えばいいの?」を作例ベースで一気に整理しました。
当ブログで実際に作った作品を、用途別にどのフィラメントが向くかでまとめています。
迷ったら、近い用途の作例で使ったフィラメントを真似するのが一番の近道です。
| 材料 | 用途・作例 |
|---|---|
| PLA | 室内・小物・知育 ティッシュホルダー / スマホスタンド / タブレットスタンド / 缶ホルダー / カード仕切り / カードバトル / キャップシューター / 輪ゴム銃 / バトルコマ |
| PETG | 修理・整理・治具(強度重視) トランポリン補強 / ケーブルラック / スパナ収納 / ケーブルホルダー / カーテンレール修復 / 集中ワーク教材 / 袋詰め治具 / ハサミ落下防止 / パーティション |
| TPU | 柔らか・ゴム質感 型はめパズル / オクラサンプル / みかんサンプル / ナスサンプル |
室内用途であればほぼPLAで完結します。
落としても割れにくい強度や屋外設置が必要な場合だけPETGを選ぶ、という考え方でOKです。
迷ったらPLA
初心者にはPLAフィラメントがおすすめです。
その理由は大きく3つあります。
- 反りにくく、造形が安定しやすい
- においが少なく、室内でも使いやすい
- 初期設定で失敗しにくい
このように、「まずはPLAで基本を覚え、必要に応じて他の素材に挑戦する」という流れがおすすめです。
実際に使っている3本
まずは初心者におすすめのPLA
PLA(ELEGOO)
一番よく使用します。強度や柔軟性が要らないもの、お試しプリントはPLAがおすすめ。大量にプリントする方は、まとめ買いがお得。
Amazonで約2,000円
4個セットで約7,000円(まとめ買いがお得)
- はじめての3Dプリント
- 試作品・小物づくり
- 失敗したくないプリント
こんなプリントにおすすめ
PETG(ELEGOO)
しなりや割れにくさが必要ならPETG。設定温度がPLAより少し高いくらいで、PLAの次に簡単だと思います。
Amazonで約2,000円
4個セットで約7,000円
- 強度が必要なプリント
- しなりが必要なプリント
- PLAに慣れてきた方
こんなプリントにおすすめ
室内・装飾・小物はPLA、屋外・水回り・耐熱が必要ならPETG が基本です。
PLAは60℃前後で柔らかくなるため、夏場の車内や直射日光下では変形します。
それ以外の用途なら、PLAが扱いやすく十分な強度です。
TPU(SainSmart)
ゴムのような柔らかさが必要ならTPU。PLAやPETGに比べ少し値段は高いですが、野菜サンプルなど柔らかさが欲しいプリントにピッタリ。
Amazonで約3,500円
- 滑り止め・クッション・柔軟パーツ
- 支援道具・知育グッズに柔らかい素材を使いたい方
こんなプリントにおすすめ
PLAでひと通り成功体験を積んでからの方が無難です。
TPUは柔らかい分、印刷速度を 20〜30mm/s 程度まで落とす必要があり、
Bowdenタイプ(チューブ送り)の機種では送り出し詰まりも起きやすい素材です。
Bambu A1 mini のようなダイレクト式なら扱いやすいので、まずはそちらをおすすめします。
よくある失敗と対策
スライサーはまず初期設定で一度プリントし、状態に合わせて微調整すると良いでしょう。

初期レイヤーがビルドプレートへ定着しない
(上から順番に実施)
①ビルドプレートの清掃・脱脂
ビルドプレートを手で触ると汚れや油分が付いて、フィラメントの定着が悪くなります。
②1層目高さ:0.2㎜→0.18㎜と下げる。
最初のレイヤーが少し潰れるくらいに設定しましょう。
③ビルドプレート温度(1層目):基本設定より高めにする。
④線幅(1層目):0.5㎜→0.55㎜と太くする。
⑤流量比:1→1.05と大きくする。
造形物の端が浮く・はがれる
①ビルドプレートの清掃・脱脂
ビルドプレートを手で触ると汚れや油分が付いて、フィラメントの定着が悪くなります。
②ブリム(接着面を広くする)や、ラフト(接着面に土台を付ける)を追加。
③ビルドプレート温度(他の層):基本設定より高めにする。
④1層目高さ:0.2㎜→0.18㎜と下げる。
⑤線幅(1層目):0.5㎜→0.55㎜と太くする。
⑥流量比:1→1.05と大きくする。
初期レイヤーがノズルにくっ付いてしまう
①ノズルの清掃
②1層目高さ:0.2㎜→0.22㎜と大きくする。
近すぎるのが原因。少しノズルを離す方向に調整しましょう。
(細い/高い)造形物がはがれる
①ブリム(接着面を広くする)や、ラフト(接着面に土台を付ける)を追加。
②スピードを落として振動を減らす。
③1層目高さ:0.2㎜→0.18㎜と下げる。
細い形状、ノズルの熱で形状が崩れる
・細い形状の時、高温のノズルがプリント品の近くにずっと滞在すると、熱でフィラメントが固まらず、成形が上手くいかないことがあります。
①冷却ファンの風量を上げる。
②印刷速度を落として各レイヤーの冷却時間を確保する。
③2個以上同時にプリントし、移動により冷却時間を確保する。
糸引きは湿気が原因
2026年6月、造形物の糸引きが急に増えました。プリントのたびに糸を取る作業が入り、後処理の時間が目に見えて増えていきました。調べてみると、原因はフィラメントが吸った湿気でした。

保管は自作BOXを使用していた
以前はフィラメントを全部、自作の保管BOXに入れていました。作りはこうです。
- フィラメントが入る大きさの食品保存ケース(パッキン付き)
- 中に3Dプリンターで作った軸を取り付けて、フィラメントをセット
- ケースに穴を開けてシリコンチューブを通す


下の穴から出したチューブでフィラメントを送るので、BOXに入れたままプリントできました。

使っていないレーンは、チューブを上の穴に戻せば密閉できる構造にしました。

使い勝手はよかったのですが、乾燥剤を入れても湿気は十分に取れませんでした。そこで、いまの方法に変えました。
すぐ使う分は乾燥機で乾かす
そこで、プリントの前にフィラメントを乾燥させることにしました。使っているのは Creality Space Pi(1ロール容量)です。乾燥しながら3Dプリンターに供給できて便利!
変わったのは3つです。
- 糸引きがなくなった
- プリント後の後処理が減った
- 印刷面がきれいになった
いちばん効いたのは3つ目でした。プットイン課題は、ビー玉やピンポン玉が内側を通ります。内面が荒れていると引っかかるので、ここのきれいさがそのまま使い心地になります。

「フィラメントの入れ替えが面倒」という方は、複数乾燥もありです。
👇2ロールタイプ
👇4ロールタイプ
長期保管は真空パック
しばらく使わないフィラメントは、真空パックに移して保管しています。袋ごと空気を抜いておけば、次に出すときも同じ状態で使えます。

CADソフトを選ぶ
※ダウンロードは公式サイトから行えます。
※ソフトの利用規約に沿ってご利用ください。
💡導入方法から基本操作までYouTubeにたくさんの解説動画があるので、初心者の方でも安心して始められます。
- Autodesk Fusion(個人用ライセンス)|直感的でわかりやすい
- FreeCAD

スライサーソフトを選ぶ
スライサーはプリンターのメーカーに合わせて選びましょう(Bambu系→Bambu Studio / Creality系→Creality Print)

まとめ|迷ったらコレでOK
3Dプリンターを買ったあとにつまずきやすいのは、フィラメント選び・ソフト選び・スライサー設定、そして湿気の4つです。どれも基本を押さえるだけで、失敗を大きく減らせます。
今回のポイントをまとめると👇
- 初心者はまずPLAフィラメントから始める
- 設定はシンプルな基本設定でOK
- 慣れてきたら用途に応じて素材を変える
- フィラメントは乾燥機と真空パックで湿気から守る
👉迷ったら「PLA × 基本設定」でOK。
まずは気軽に1つ作ってみることから始めてみてください。
作ってツナガル工房では、日々の「困りごと」を解決するアイデアを発信しています。
みなさんのリクエストも大歓迎です!
3Dプリンターを検討している方へ
この記事の部品も3Dプリンターで作りました。5年で3台使ってきて「これは先に知りたかった」と思ったことをまとめています。買い替えを考えている方にも👇

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