視覚的コミュニケーション支援DIY5選|絵カード×視覚支援
「言葉でのやり取りが難しい」「予定の見通しが持てず混乱する」――そんな現場の課題を、絵カードと視覚的なスケジュールで解決するDIYアイデアをまとめてご紹介します。
就労支援B型・特別支援・療育の現場で実際に使われているツールを、100均素材で誰でも作れる形にした5つのDIY。利用者さん・お子さんの状態や目的に合わせて、組み合わせて使えます。
発達障害や知的障害のあるお子さん、利用者さんの中には、「言葉だけの説明では理解しにくい」「次に何をするのか分からず不安になる」という方がいます。
例えば、
- 自分の気持ちや要求を伝えるのが難しい
- 予定や活動の見通しが持てず不安になる
- 大きさや違いを見分けるのが難しい
といった困りごとです。
そんな時に役立つのが、絵カードや視覚支援スケジュールです。
言葉を減らして「見て分かる」環境を作ることで、不安の軽減や自立支援につながります。
私がボランティアで関わっている支援現場でも、視覚支援を取り入れることで「次の活動は何?」「今何をすればいいの?」という確認が減り、自分で行動できる場面が増えました。
ただし、利用者さんによって分かりやすい形はさまざまです。そのため、高価な専用品を導入する前に、100均素材で試しながら調整できるDIYツールはとても役立ちます。
今回紹介する5つの支援グッズも、実際の現場での気づきをもとに改良を重ねてきたものです。
- 就労支援B型事業所の支援員さん
- 放課後等デイサービスの職員さん
- ご家庭で視覚支援を取り入れたい保護者
3つの困りごとを支援するDIY
支援現場では、1つのツールですべての困りごとを解決できるわけではありません。
例えば、
- コミュニケーションを支援したい
- 予定の見通しを持たせたい
- 見分ける力を育てたい
では必要な支援が異なります。
そのため、このDIYはそれぞれ役割が違います。
- PECSブックや絵カードは「伝える支援」
- 視覚スケジュールは「見通しを持つ支援」
- サイズ識別ツールは「見分ける力を育てる支援」
利用者さんの困りごとに合わせて組み合わせることで、より効果的な支援につながります。
❶ 100均PECSブック

ラミネート不要でカードの差し替えがすぐできるPECSブック。忙しい現場でもメンテナンスが簡単で、利用者さんごとにカスタマイズできます。本格的にPECS(絵カード交換式コミュニケーション)を導入したい方向け。

❷ かんたん絵カード

ラミネート不要・差し替え式のシンプルな絵カード。100均素材だけで作れて、使いながら少しずつカードを増やせるので、「いきなりPECSは大変…」という方の入門編としても最適です。

❸ 視覚支援 貼るタイプ

1日や1週間の予定を壁に貼って見える化するタイプ。利用者さんが自分でカードを移動して「今/次/終わった」を確認できます。視覚優位の方の自立支援に効果的。

❹ 視覚支援 置くタイプ

机の上に置いて使えるスタンド型スケジュール。マンツーマンの個別支援や、移動式で複数の場所で使いたい場合に最適。貼るタイプと組み合わせると、場面に応じた使い分けができます。

❺ お菓子サイズ識別ツール

「言葉で大きさを伝えるのが難しい」――そんな現場で、サイズの違いを視覚的に判別できる治具。お菓子を実物大の型に当てるだけで、大きさが直感的にわかります。数字や言葉が苦手な利用者さんの自立的な作業をサポート。

使い分けのヒント
| 場面 | おすすめDIY | ポイント |
|---|---|---|
| 導入期 | かんたん絵カード+置くタイプ | まず1セット試してみたい方に |
| 本格運用 | PECSブック+貼るタイプ | 継続して取り組みたい方に |
| 個別支援 | かんたん絵カード+置くタイプ | 机上で1対1の支援に最適 |
| 集団支援 | PECSブック+貼るタイプ | 壁面掲示で全員が同時に確認できる |
| サイズ識別練習 | お菓子サイズ識別ツール | 数や言葉に頼らず大きさで判別 |
番外編|視線をコントロールする補助ツール
絵カードや視覚スケジュールと並んで、「見える情報を絞る」「集中しやすい環境を作る」のも視覚的コミュニケーション支援の大事な要素。視線対策パーテーションは、利用者さんが集中したい時に周囲の刺激をカットできる便利なツールです。

よくある質問
Q. 絵カードの素材はどう用意すればいい?
「いらすとや」などの無料イラストサイトや、ChatGPTなどのAI画像生成、現場で撮影したオリジナル写真など、複数の方法があります。各サイトのライセンス(クレジット表記の要否など)は必ず確認してください。PECSブック記事では154枚の絵カード素材も無料配布しています。
Q. ラミネート不要で本当に大丈夫?
はい、100均の軟式カードケースを使えば簡易ラミネート効果が得られ、書き換えも自由です。利用者さんの好みや成長に合わせてカードを差し替えやすいのが大きなメリット。傷んだら同じ100均で買い直せるので、長期運用にも向いています。
Q. 最初の1セットはどれから始めればいい?
| 現場の困りごと | おすすめDIY |
|---|---|
| 言葉でのやり取りが難しい | ❶❷(PECSブック・かんたん絵カード) |
| 予定の見通しが持てない | ❸❹(貼るタイプ・置くタイプ) |
| 数や言葉での識別が苦手 | ❺(お菓子サイズ識別ツール) |
まず1つ作って利用者さんの反応を見ながら、必要に応じて他のツールを追加していけます。
実際に使って感じたこと
私が支援現場で感じるのは、「できない」のではなく、「伝わっていない」「分かりにくい」だけの場合が意外と多いということです。
例えば、言葉で説明すると理解が難しかった利用者さんが、絵カードを見せるとすぐに行動できたり、スケジュールを掲示したことで活動の切り替えがスムーズになったりする場面がありました。
もちろん、すべての方に同じ方法が合うわけではありません。
だからこそ、低コストで作れて、利用者さんに合わせて変更しやすいDIYツールには大きな価値があります。
100均素材を活用すれば、実際に試しながら改良できます。
「このカードは分かりやすかった」
「この色は見やすかった」
「このサイズが使いやすかった」
そんな小さな発見を積み重ねることで、その人に合った支援が見えてきます。
完璧な支援ツールを最初から作る必要はありません。
まずは1つ作って試してみる。
そこから少しずつ改良していくことが、利用者さんに合った支援への近道だと感じています。
今回紹介した支援グッズはこちら👇
支援グッズDIYのほかのアイデアは、こちらのまとめ記事で紹介しています👇










