ペンのキャップが外せない方の自助具|外さずに描けるペン立てDIY
「施設の利用者さんは、お絵かきの時間が大好きなんです。でも、自分でキャップを外せない方も多く、どうしても職員の補助が必要で……。」
「自分でできるようになることで、自信を持ってもらえたら。好きなことを、好きなだけ楽しんでほしいんです」
生活介護の事業所の職員さんから、そんな相談をいただきました。
作ったのは、キャップを外した状態のペンを差しておけるペン立てです。職員さんが前もってキャップを外して差しておけば、利用者さんは描くときにキャップを外さなくて済みます。

相談から考えたこと
お絵かきの流れの中で、難しいのはキャップを外すところです。それなら、その作業を職員さんが事前に準備できる形にすればいいのではないか、と考えました。
難しい作業を分けて、前もって準備しておく。そうすれば、残りの一連の作業は利用者さん自身でできるかもしれない。そう思って、試作を重ねました。
3種類のペン立て
キャップを外して差す
ペンは、キャップを外した状態で差しておきます。利用者さんは抜いて描き、描き終わったら戻します。
今回使用したのは、ダイソーの筆ペン(3本入り)です。

1個タイプと5連タイプ
利用者さんに合わせて、1個タイプと5連タイプを作りました。5連タイプは、何色も用意しやすいのが良いところです。

手の動きが大きく、ペン立てどうしの間を広くとりたい方には、1個タイプが合うようです。

ボードに磁石で付く
お絵かきに使うホワイトボードに貼り付けられるよう、3Dプリントした本体の中に磁石を埋め込みました。パッと付けやすく、使いやすい形にしています。

キャップを差し込むタイプ
ペンの種類に合わせて、キャップを穴に差し込んでおくタイプも作りました。油性ペン用の5連タイプです。

穴は、丸の上に小さな四角が飛び出した形です。キャップのフックを四角い部分に合わせて差し込み、右に90度回すと、キャップが抜けなくなります。ペンを抜けばキャップだけが穴に残るので、利用者さんは置かれたペンをそっと取って、そっと戻すだけです。

使いやすさの工夫
ペンを戻すときに引っかかりがあると、差すのが難しくなります。そこで、形の凸凹を極限まで少なくしました。
ほかにも、使いやすくするために次の3つを工夫しています。
- ペン先が当たらない寸法にして、ペン先が折れないようにした
- ペンを差し込む入口を、口広にした
- 透明のフィラメントで作り、差してあるペンの色が見えやすいようにした
うまくいかなかったこと
小さな段差でつっかえる
小さな段差があると、ペンの入れ方によっては、その段差でつっかえてしまいます。ここは何度も試行錯誤しました。
戻すときに倒れる
ペンを戻すときに、ペン立てが倒れてしまうこともありました。そこで、磁石を埋め込むことにしました。
磁石の力が足りない
ところが、テストでは磁力が弱く、思うようにいきませんでした。磁石の選び方と埋め込み方を見直して、今の形で強い磁力を得られるようになりました。
磁石の下の厚みは0.4mmにしています。0.2mmだと破れそうだったためです。
作り方
スライサーの設定は、初期設定のままです。
| タイプ | 材料費 | 印刷時間 | サイズ(mm) |
|---|---|---|---|
| 筆ペン1個用 | 本体 約40円(18g)+磁石2個 約20円 | 48分 | 縦40×横50×高さ50 |
| 筆ペン5連用 | 本体 約140円(69g)+磁石4個 約40円 | 2時間20分 | 縦40×横200×高さ50 |
| 油性ペン5連用(キャップ差込) | 本体 約200円+磁石4個 約40円 | 3時間21分 | 縦40×横190×高さ50 |
プリンターに途中停止を入れて、マグネットを入れます。

使用したフィラメント PLA(半透明)
私が実際に使用しているフィラメントはこちら👇(Amazonで約2,000円)
3Dプリンターをこれから始めたい方は、こちらの記事も参考にしてください。

使ってみて
今の段階では、とても好評をいただいています。
9月20日に、最終の形を試していただく予定です。様子を伺えたら、ここに追記します。
利用者さんにはいろいろな方がいるので、全員に合うかどうかはまだ分かりません。
まとめ
- キャップを外す作業を、職員さんが前もって済ませておけるペン立て
- 1個タイプ・5連タイプ・キャップを差し込むタイプの3種類
- 磁石を埋め込んで、ホワイトボードに付けられる
- 戻すときにつっかえないよう、形の凸凹を極限まで少なくした
ペンを握るのが難しい方には、指を通すだけで持てる自助具も作っています。


