【支援ツールDIY】支援現場と共につくる!低コスト&簡単「PECS BOOK」DIY開発レポ

簡単支援ツール

こんにちは。
作ってツナガル工房です!

職員さん
職員さん

時間が足りない、PECS BOOKをもっと手軽に作れたら…

そんな支援現場の声からこのプロジェクトは始まりました。

作ってツナガル工房
作ってツナガル工房

本記事では、まだ完成してない「開発の途中」だからこそお伝えできる、現場の課題とリアルな試行錯誤の様子を紹介します!

どうすれば低コスト手軽に作れるPECS BOOK」になるのか?
実際の試作や工夫を交えながら、職員さんと一緒に考え、作っていくプロセスを紹介。

「自分たちもやってみたい」「活用できそう!」と感じていただけたら嬉しいです。

1.はじめに:現場の「困った!」から生まれたPECS BOOKの自作アイデア

発達に特性のある方々が、自分の思いや希望を伝えるためのコミュニケーションツール「PECS BOOK(ペクス・ブック)」
「誰に」「何を」「どうしてほしい」を、言葉ではなく写真や絵カードで伝えることができます。
カードを組み合わせて気持ちを表すこのツールは、日常生活の中でとても大切な役割を果たしています。

そんなPECS BOOKについて、ある支援現場の職員さんから次のようなご相談をいただきました。

  • 他の支援で手いっぱい、PECS BOOKを作る時間がとれない
  • 利用者さんの状況に応じてその場その場で新しいカードが必要になるため、簡単に作れる仕組みがほしい
  • 利用者さんが持ち歩けて、すぐ使える形は残したい

2.課題を整理して、低コスト・簡単PECS BOOKの構想へ

  • 現状のPECS BOOKの形を活かしながら
  • できるだけ低コスト
  • その場で簡単にカードを作成・追加できる仕組みにする

3.現状の問題と3つの改善アイデア

《現状の問題》

  • カードは印刷した紙をラミネートするか、段ボールに貼り付ける
  • カード裏面にマジックテープを貼って、台紙に固定
  • 台紙は色付き紙をラミネート加工して使用

これでも十分に機能しますが、「ラミネートに時間がかかる」「段ボールからマジックテープはがれちゃう」という課題があります。

(1)素材変更で長持ち&補修の手間を減らす

段ボールだと、マジックテープ はがれてしまい、補修が必要になります。
そのため、カード素材をビニール製プラスチック製など、マジックテープはがれにくい素材にすることで、補修の手間を減らします。

(2)ラミネート不要!ケース型カードで時短

印刷したものを都度ラミネートするのではなく、印刷物を差し込める「ケース型カード」を採用!
印刷物を入れるだけでカードが完成します。
脱ラミネートで、作成の簡易化と、時短化を同時に実現!

👇の3パターンを試行
①軟質カードケースをカットし、端面をヒートシーラーで接着
②硬質カードケースをカットし、端面をヒートシーラーで接着
③出来合いの硬質カードケースをそのまま使用

①軟質カードケースをカットし、端面をヒートシーラーで接着良好

②硬質カードケースは接着が上手くいかずNG💦
③出来合いのカードケースで最小のものでも60mmと大きすぎてNG💦

(3)PPシートで台紙作りをスピードアップ

現在の台紙は色付き紙ラミネートしていますが、こちらも手間と時間がかかります。
そこで、最初から色が付いている「PP(ポリプロピレン)シート」を活用し、ラミネート工程を省略、製作時間を短縮

試しに色違いのPPシートを5種購入👇

4.第1回試作:PECS BOOKのファイルサイズ・カードサイズ・素材を検証

《検証したい内容》
①ファイルの大きさ ⇨B5、A5の2サイズを試作
②カードの大きさ  ⇨□3cm、□3.5cm、□4cmの3サイズを試作
③台紙の材料変更  ⇨PPシートで試作

《 職員さんとの検証結果 》
①ファイルの大きさ⇨B5で決定!
②カードの大きさ ⇨□3で決定!
③台紙の材料変更
  ⇨半透明のPPシートだと安価で売っているが、半透明じゃない方が見易い
  ⇨台紙の数は5枚⇒7枚ほしい
  ⇨台紙両面にカードを付けたい

5.第2回試作:更なる改善と検証(視認性アップ)

《職員さんとの検証結果》

6.第3回試作:リクエスト反映&仕上げ(操作性アップ)

◆透明じゃない2リングファイル(A4サイズ)をSeriaで発見! B5サイズにカットし使用

◆文章カードを取りやすくする👇

◆文章カードは2枚重ねでふにゃふにゃを解消!👇

◆3Dプリンターで「てつだって」カード完成!(素材:軽くて使いやすいPLAフィラメント)
 黄色と青色の2色!色は手動で交換。

🎁 STLデータはこちら👉 ダウンロード
※再配布・商用利用はご遠慮ください。個人利用の範囲でご活用ください。

★リクエストを反映した3回目の試作がこちら👇

《職員さんとの検証結果》
近日実施予定!

7.PECS BOOKを低コストで自作!コスト明細

(1)1個あたりの製作コスト(計算上)

作ってツナガル工房
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材料に余りが出ないように製作すれば、
計算上、1個当たり957円で製作可能!

1個あたりの材料費:957円
・ファイル1個:110円
・軟質カードケース2個:220円
・マジックテープ(25m1,600円の1/4):400円
・3DプリンターPLAフィラメント:4円
・台紙:223円
  PP青(110円で4個できる):28円
  PP緑(110円で4個できる):28円
  PP黄(110円で2個できる):55円
  PP桃(110円で2個できる):55円
  PP白(110円で6個できる):19円
  PP灰(110円で6個できる):19円
  PP黒(110円で6個できる):19円

(2)製作個数別の材料費

作ってツナガル工房
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・1個だけ作ると余る材料が出てしまい、高額に…
・4個作るのがコスパが良い!

8.まとめ:誰でもできるPECS BOOK自作のメリット

作ってツナガル工房
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開発当初は「自分にできるかな?」と不安もありましたが、職員さんと一緒に試行錯誤を重ねるうちに、少しずつ形になっていく過程がとても楽しく、自信にもつながりました。

現場で使いやすい工夫は、一人で考えるよりも、みんなで共有することでさらに広がっていきます。
ぜひ、皆さんが実践している工夫や「こんなアイデアを取り入れてみたい!」という声をお聞かせください。

次回は、PECS BOOKに続く「支援ツールDIY」の新しい事例もご紹介していきますので、どうぞお楽しみに!

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