福祉現場で使える集中ワーク教材|3Dプリンターで低コスト自作

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福祉現場で「利用者さんが手軽に集中できるワークがほしい」と感じたことはありませんか?
発達障害のある方への支援では、短時間でも取り組みやすく、成功体験につながる教材が重要です。しかし、市販教材は高額なものも多く、利用者さんによって合う・合わないもあるため、気軽に試しにくいのが現実です。

そこで今回は、福祉施設の職員さんの声から生まれた「集中できるワーク教材」を、3Dプリンターで低コストに自作する方法をご紹介します。一度データを作成すれば繰り返し印刷でき、サイズ調整も可能。現場ですぐ使え、継続支援にも活用できるツールです。

1. 福祉現場で求められる「集中できるワーク」とは?

福祉現場で求められる「集中できるワーク」とは、長時間取り組む課題ではなく、短時間でも達成感を得られる活動です。

発達障害のある方の支援では、「わかりやすい」「見通しが立つ」「終わりが明確」という要素が、安心して取り組むための重要なポイントになります。特に、視覚的に理解しやすい教材や、繰り返し練習できる課題は、集中力を引き出しやすい傾向があります。

また、成功体験を積み重ねることで、自己肯定感や次の活動への意欲につながることも少なくありません。だからこそ、現場では“すぐに取り組めて、無理なく続けられるワーク”が求められているのです。

しかし、そのような条件を満たす教材を、すべて市販でそろえるのは簡単ではありません。

2. 市販教材が試しにくい理由

市販教材には、すぐに使えるというメリットがあります。しかし、福祉現場では「購入して終わり」にはなりません。

例えば、

  • 利用者さん一人ひとりの特性に合わせた難易度調整が難しい
  • サイズや色を細かく変更できない
  • 破損や紛失があると再購入が必要になる
  • 複数人分そろえると予算負担が大きい

といった課題があります。

さらに、実際に使ってみないと「本当に集中できるか」は分かりません。合わなかった場合、その教材は活用されにくくなってしまいます。

そのため、現場では「まずは気軽に試せる教材」が求められているのです。

3. 3Dプリンターなら低コストで、利用者さんに合わせた教材を作れる

3Dプリンターの最大の強みは、「現場に合わせて調整できること」です。

例えば、

  • サイズを大きくして持ちやすくする
  • パーツ数を減らして難易度を下げる
  • 色を変えて視覚的に分かりやすくする
  • 段階的にレベルアップできる設計にする

といった調整が可能です。

一度データを作れば、破損してもすぐに再印刷でき、複数人分をそろえることも難しくありません。市販教材のように「完成品を買う」のではなく、支援の目的に合わせてカスタマイズできる点が、大きな違いです。

こうした柔軟性があるからこそ、福祉現場での活用の幅が広がります。

3Dプリンターで作る、集中ワーク教材の写真

4. 集中ワーク教材の設計手順とポイント

3Dプリンターで教材を作ると聞くと、「専門的で難しそう」と感じる方もいるかもしれません。しかし、必要なものは意外とシンプルです。

基本的に用意するのは、

  • 設計ソフト
  • スライサーソフト
  • 3Dプリンター本体
  • フィラメント(今回はPLAを使用)

の4つです。

今回使用したのは、扱いやすく初心者にも向いているPLAフィラメントです。強度も十分で、日常的な支援ツールとして安心して使用できます。

また、設計ソフトやスライサーソフトは無料で使えるものも多く、初期費用を抑えて始められる点も大きなメリットです。

「特別な設備がないと作れない」というものではなく、環境さえ整えば誰でも挑戦できる支援ツールづくりです。

設計・スライスサーソフト

※ダウンロードは公式サイトから行えます。
※ソフトの利用規約に沿ってご利用ください。

💡個人的にはFusion360の方が直感的でわかりやすく、おすすめです。

💡導入方法から基本操作まで、
 YouTubeにたくさんの解説動画があるので、
 初心者の方でも問題なく始められます。

  • スライサーソフト:プリンターに合わせる
    👉Bambu Studio
ソフトウェアダウンロード方法の写真

設計手順とポイント

  • まずは基準となる形を作ります。
  • 差し込みピンは〇△□の3種を設計。必要に応じて星型やハート形など増やせます。
  • ピンと穴の大きさが同じだと、ピンがはいらないので、ピンより穴を0.2~3㎜大きくします。
  • トレイは差し込む穴と、ピンを置く場所を一緒に設置、持ち運びや使い勝手を向上。
  • ピンの数は5×5列で25個としました。
  • 大きさ:ピンはΦ8 x 30㎜
        トレーは縦80 x 横150 x 高さ17㎜
  • 利用者さんの反応を見ながら、大きさや形状、ピンの数を調整していきます。
集中ワーク教材のCAD図

スライサー設定とポイント(Bambu Studio)

まずは初期設定で一度プリントし、様子を見ながら微調整しましょう。

・材料:PLAフィラメント

  • 初期レイヤーがビルドプレートへ定着しない(上から順番に実施)
    ①1層目高さ:0.2㎜→0.18㎜と下げる。
    ②ビルドプレート温度(1層目):65℃→70℃と高くする。
    ③線幅(1層目):0.5㎜→0.55㎜と太くする。
    ④流量比:0.98→1→1.02と大きくする。
  • 造形物の端が浮く・はがれる(上から順番に実施)
    ①ビルドプレート温度(他の層):65℃→70℃と高くする。
    ②1層目高さ:0.2㎜→0.18㎜と下げる。
    ③線幅(1層目):0.5㎜→0.55㎜と太くする。
    ④流量比:0.98→1→1.02と大きくする。
  • 造形物が「細い・高い」ではがれる
    ①ブリム(接着面を広くする)や、ラフト(接着面に土台を付ける)を追加。
    ②1層目高さ:0.2㎜→0.18㎜と下げる。
    ②スピードを落として振動を減らす。

💰 印刷コストの目安

  • プリント時間:約4時間/1セット
  • フィラメント使用量:100g/1セット
  • 材料費:200円/1セット

集中ワーク教材のSTLデータ無料配布

※準備中です。しばらくお待ちください。

5. 集中ワーク教材に必要な機材と材料

使用した3Dプリンターとフィラメント

  • 3Dプリンター:私が実際に使っている Bambu A1 mini はこちら👇組み立てほぼ不要、初心者でもすぐ使えます。(Amazonで約4万円/セール時は約3万円)
  • フィラメントPLA
    今回の部品はすべてPLAフィラメントで出力しています。扱いやすく失敗しにくいので、初心者の方にもおすすめです。
    私が実際に使っているPLAフィラメントはこちら👇(Amazonで約2,000円)

■フィラメントについて(選び方の参考)
PLA:安価で扱いやすい。日常使用には十分
TPU:やわらかく、柔軟性がある
PETG:強度と柔軟性あり、長期使用おすすめ
ABS:耐熱性に優れるが、反りやすく難しい

6. 実際に使ってみた現場の反応と効果

利用者さんの反応も良好で

・5分以上継続して取り組めた
・形の識別がスムーズになった
・「もう1回やる」と自発的に言えた

次は改善の声を聞き、大きさ・形・色など調整していきます。(後日レビュー)

3Dプリンターで作る、集中ワーク教材の写真

7. 手作りワーク教材と市販品の比較

比較項目手作り(3Dプリンター)市販教材
コスト(初期+運用)・材料費のみで製作可能
・破損時も再印刷でき、長期的に低コスト
・数千円〜1万円以上
・破損時は再購入が必要
カスタマイズ性・個別対応・サイズ・形・難易度を自由に調整可能
・段階的な難易度設計が可能
・基本仕様は固定
・商品の範囲内での運用
導入スピード・設計・印刷の時間(半日~1日)が必要・購入後すぐ使える
量産のしやすさ・データがあれば複数作成可能・人数分購入が必要
選び方・コストを抑えたい方
・利用者さんに合わせて設計したい方
・購入して直ぐに試したい方

購入してすぐ試したい方は、市販教材もチェックしてみてください👇

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