使いやすくて時短!100均で手作りPECSブック|支援ツール工作

使いやすくて時短!100均で手作りPECSブックのアイキャッチ画像 【支援ツール工作】

こんにちは、作ってツナガル工房です!

今回は、支援現場の声と一緒に改善した“PECSブック”をご紹介します。

PECSブック(正式名称:PECSコミュニケーションブック)は、「絵カード」で気持ちや希望を伝えるための支援ツールです。

しかし、支援現場の職員さんからはこんな声が…

職員さん
職員さん

絵カードがすぐ作れたらいいのに…
ラミネートしなくちゃいけないし…

ラミネート作業のようす

準備の手間が大きな負担になっていました。

忙しい支援現場でも──
必要な絵カードをすぐ作れる
✓ 作業に追われず、支援に集中できる
そんな“負担の少ないPECSブック”があったら、現場はもっとラクになると思いませんか?

そこで今回のテーマがこちら👇

工房
工房

脱ラミネート!
かんたん絵カードで時間を短縮

職員さんと一緒に、現場で使いながら改善を重ね、準備の手間を減らした“誰でも使いやすいPECSブック”を目指しました。

本記事では、現場の声から生まれた“時短PECSブック”の作り方と工夫をわかりやすく解説していきます。ぜひ最後までご覧ください。

1. 解決策|使いやすくて時短!PECSブック

PECSブックは、絵カードを使って「思い」や「希望」を伝える、発達支援の現場で広く使われている支援ツールです。

日頃お世話になっている福祉施設の職員さんから、こんな相談をいただきました。

職員さん
職員さん

他の支援もあり時間が足りない…

その場で必要な絵カードをすぐ追加できる仕組みがほしい!

そこで、時間がかかる原因から改善を重ねて完成させたのが、写真の「使いやすくて時短!PECSブック」です。

それでは、その改善の内容を解説していきます。

改善後のPECSブック写真
新しいPECSブックを実際に使用しているようすの写真

2. 時間がかかる原因はラミネートだった!

▶ 現状の手作りPECSブックを確認

  • 絵カード:写真やイラストをラミネート
  • 台紙:色画用紙をラミネート
  • 固定:マジックテープで貼り付け

※利用者さんの状況に合わせて
 その場で新しい絵カードを作ることも多い

職員さんの手作りPECSブックの写真

▶ 時間がかかる原因は”ラミネート作業”

絵カードはラミネートが必要なため、
利用者さんの状態に合わせてその都度作る場面では、どうしても時間がかかってしまいます。

こうした状況が重なり、
「支援したいタイミングで、すぐ動けない…」という現場の困りごとにつながっていました。

こうした状況から、時間がかかる原因は「ラミネート作業」だとわかりました。

そこで今回“脱ラミネート”に取り組むことにしました。

3. かんたん絵カードで脱ラミネート➡時間を短縮

専用のカードケースを作って、必要な写真やイラストを入れるだけのかんたん絵カードを提案!

脱ラミネートで絵カードを作る時間を大幅に短縮できます。

4. 材料と工具

ここからはPECSブックの材料と工具を紹介します。

▶ 使用する材料

  • ファイル(B5・1個:110円)
    ※ファイルのサイズはお好みで変更OK
    ※今回はA4をカットしてB5に修正
    ※耐久性のため、金属の2リングを使用
  • 軟質カードケース(B4・1枚:110円)
材料である、ファイルと軟質カードケースの写真
  • 粘着テープ付きのマジックテープ
    ※大容量25m(Amazon1600円)コスパ良
    ※ 100均でも購入可能
粘着テープ付きのマジックテープの写真
  • PPシート(7色:110円=770円)
    ※今回はファイルの表紙を切って代用
PECSブックの材料:PPシートの写真

▶ 使用する工具

  • 定規
  • カッター
  • ハサミ
  • マジックペン(線引き用)
  • 2穴パンチ
  • カッターマット
  • ヒートシーラー
PECSブックを作る工具の写真

▶ 材料費|1冊あたり¥978円(4冊作る場合)

工房
工房

1個だけ作ると材料があまり高額に…
4個作るのがコスパが良い!

■材料費(製作数別)まとめ

5. 作り方

ここからはPECSブックの作り方を解説します。

▶ 絵カードの大きさは2種類

絵カードは2種類の大きさを作りました。お好みで選んでください。

  • 幅30㎜
    台紙にたくさんの絵カードを貼れるのがメリットです。一方で、手に持ったときに少し小さく、扱いにくいと感じる方もいます。
  • 幅40㎜
    台紙に貼れる枚数は少なくなりますが、手に持ったときは大きくて持ちやすく、見やすいサイズです。

▶ Step1 自作カードケースの作り方

  • 軟質カードケースをカットする。
    幅30㎜の場合:縦34㎜ x 横37㎜
    幅40㎜の場合:縦44㎜ x 横47㎜
  • 3辺をシーリングしケースの形にする。
    シーリング幅は3㎜。
    幅30㎜の場合:幅31㎜の紙を挟む
    幅40㎜の場合:幅41㎜の紙を挟む
  • 裏面にマジックテープ(メス側)を貼る。
自作カードケースの作り方

▶ Step2 かんたん絵カードの作り方

  • 写真やイラストを印刷する。
  • 幅30㎜、もしくは40㎜の大きさにカットする。
  • 先ほど作った、自作カードケースに入れるだけ!
自作カードケースに写真やイラストを入れて新しいカードを作るようす

▶ Step3 ファイルの作り方

  • 表紙の右側を60㎜短くカットする。
    表紙:縦260㎜ x 横160㎜
    裏表紙:縦260㎜ x 横220㎜
  • 安全のため切った部分の角は丸くする。
  • 表紙の表と裏に「絵カード」用のマジックテープ(オス側)を5列貼る。
  • 右端に「文章カード」用のマジックテープ(オス側)を貼る。
PECSブック用ファイルの作り方
PECSブック用ファイルの作り方

▶ Step4 台紙の作り方

  • 色付きPPシート を縦260㎜ x 横140㎜にカットする(7色)
  • 2穴パンチで穴をあける。
  • マジックテープ(オス側)を表面に貼る。
    幅30㎜の場合:6列
    幅40㎜の場合:5列
PECSブックの台紙の作り方
  • 絵カードを貼るスペースを増やそうと、台紙の両面使用も確認したところ…
  • 両面使用:全体が厚くなり使いづらい
  • 片面使用:全体がスッキリ、使いやすい
台紙を「両面使用「と「片面使用」を比較した写真

▶ Step5 文章カードの作り方

  • PPシートを縦200㎜ x 横40㎜の大きさに2枚カットする。
    ※台紙PPシートのカットした余りを使用
  • 真ん中左にくぼみを持たせて、にぎりやすくする。
  • 2枚を貼り合わせて強度アップ。脱着しやすくなります。
  • 表面にマジックテープ(オス側)を貼る。
  • 裏面にマジックテープ(メス側)を貼る。
PECSブックの文章カードの作り方

▶ Step6 てつだってカードの作り方

  • 3Dプリンターで作りました(素材:PLAフィラメント)
  • 裏面にマジックテープ(メス側)を貼る。

💡てつだってカードは、段ボールなど身近な材料でも作れます。

💡3Dプリンターの材料と機材はこちらを参考にしてください。

🎁 STLデータはこちら👉 ダウンロード
※個人利用の範囲でご自由にお使いください。
※再配布・商用利用はご遠慮ください。

6. 使ってみた感想

■完成した「新しい PECSブック」はこちら👇

■実際に使用しているようすはこちら👇

■職員さんとの感想まとめ

職員さん
職員さん

ラミネート作業から解放され
絵カードの作成が簡単になった!

職員さんと改善を重ねることで

  • 脱ラミネートのかんたん絵カードを開発
  • 絵カードの作成時間を大幅に短縮
  • 使いやすく、見やすく、壊れにくい
工房
工房

「使いやすくて時短!PECSブック」が完成!        

7.「支援ツール」開発のメリット

▶ メリットと効果まとめ

  • 必要な絵カードをすぐ作れる
    → 支援を止めず、その場で対応できる
  • 使いやすく、長く使える
    → 壊れにくく、安心して使い続けられる
  • 低コストで作れる
    → 100均中心で、導入・継続しやすい

▶ 開発を進めてみて…

工房
工房

最初は完成への不安もありましたが
改善を重ねる中で“形になっていく楽しさ”と自信につながりました✨

作ってツナガル工房では、日々の「困った」を「作って解決する」アイデアを発信しています。みなさんのリクエストも大歓迎です!

ほかにも「支援ツール」を紹介しています!
👉袋詰めをラクに!100均で作る袋ホルダー
👉100均で作る!視覚支援スケジュール
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