こんにちは、作ってツナガル工房です!
本記事は「袋詰め作業を助ける補助具」シリーズの第3弾です。
👉 第1弾:【支援ツール工作】100均素材で袋詰め補助具を自作(袋ホルダ編)
👉 第2弾:【支援ツール工作】3Dプリンタで袋詰め補助具を自作!(オクラ編)
こちらも是非ご覧ください
支援現場で行われる「袋詰め作業の練習」
しかし、本物の果物を使うと

・腐ってしまう
・衛生的に良くない
・何度も使えない という悩みが…
市販の練習用サンプルは高価で、数を揃えるのも大変です。

そんな課題を解決する方法が、3Dプリンターで果物サンプルをDIY です。
・腐らず
・何度でも使え
・低コストでたくさん用意できる
前回までは
✅ 袋を固定して作業を楽にするツール
✅ 野菜サンプルをDIYし、袋詰め練習をサポートする方法
をご紹介しました。
今回はさらに、「果物サンプル」を3DプリンターでDIYし、袋詰め練習をサポートする方法を解説します。
1.袋詰め作業が難しい理由と、よくある悩み

手先の動きが苦手な方のために
みかん袋詰め作業の練習用教材が欲しい!
みかんの袋詰め作業は一見シンプルに思えますが、実際は難しさがあります。

✅ 片手で袋を開きながら、もう片方の手でみかんを入れる必要がある
✅ みかんの形やサイズが不揃いで、力加減や角度の調整が難しい
✅ 失敗すると袋が破れたり、果物が傷んだりする
\ここがポイント!/
本物のみかんは練習に向きません。
**「腐る」「コストがかかる」「衛生的に繰り返し使えない」** というデメリットがあります。
2.解決策:3Dプリンターで作る袋詰め練習用の”みかんサンプル”

解決策は…3Dプリンターで作る「みかんサンプル」!
腐らず・繰り返し使え・サイズを揃えられるため、支援現場に最適です。
- 腐らないので衛生的で繰り返し練習できる
- サイズや形を揃えられる
- 材料費は100円程度で低コスト
- 安全な素材(PLAやTPUなど)で作れる
この果物サンプルを使えば、安心して袋詰め作業の練習が可能になります!
3.みかんサンプルを作るために必要な材料と準備
(1)3Dプリンター
- CrealityのEnder-3 V3 KE を使用
(2)フィラメント

今回はTPUの柔らかさで「果物」の「触感」を再現!
- PLA:安価で扱いやすい。日常使用には十分。
- PETG:強度と柔軟性があり、長期使用におすすめ。
- ABS:耐熱性に優れるが、出力難易度がやや高い。
- TPU:柔らかく、柔軟性、衝撃吸収性がある
(3)CADソフトは無料ソフトがおすすめ
- FreeCAD、Fusion360、Tinkercad など
(4)スライサーソフトは3Dプリンターと同じメーカーがおすすめ
- (プリンター)Creality Ender-3 ⇨ (スライサー)Creality Print
- (プリンター)ELEGOO ⇨ (スライサー)ELEGOO Cura
(5)測定器
- ノギス:各所の寸法を採寸
(6)工具類
- ニッパー:バリ、糸引き部分の処理
4.CADソフトでモデルを作成
(1)みかんのサンプルをCADモデルで作成するコツ

✅ 大きさはスーパーで売っているサイズ:横幅60mm、高さ45mm
✅ 外周はR22mmで丸みをもたせる
✅ 上面と下面はへこみを付ける
✅ 茎はΦ5mm、へたは茎の周りに5角形で設計
✅ 作成時間は約30分

さらに、なすやにんじん、きゅうりなど、袋詰め作業でよく使われる野菜も可能!
(2)完成したサンプルのSTLデータ無料配布
stlデータはこちら👉 ダウンロード
※再配布・商用利用はご遠慮ください。個人利用の範囲でご活用ください。
5.3Dプリンターで袋詰め練習用みかんサンプルを出力
(1)スライサー設定のコツ
- 材料:TPU(柔らかい)
- ノズル径:0.4mm
- レイヤー高さ:0.2mm
- 初期レイヤー高さ:0.2mm
- ウォールライン:2層
- トップレイヤー:4層
- ボトムレイヤー:4層
- インフィル:15%
※強度や弾力を上げたい場合は、数値を大きくします - インフィルパターンおすすめ: Triangles
- 印刷速度:50mm/s程度
※TPUは少し遅くすることでプリントが安定
※奇麗にプリントしたい場合は、さらにゆっくりにする - サポート材:あり

- 終盤、中央にある「茎」の成形が上手くいかない場合は、2個以上でプリントすることをおすすめします。
※1個でプリントすると、高温のノズルがプリント品の近くにずっとあるため、熱でフィラメントの定着が安定せず、成形が上手くいかないことがあります。
(2)プリント時間と材料費の目安
- プリント時間:2時間15分/1個
- フィラメント使用量:30g(約120円)/1個
(3)材料(TPU)を選んだ理由は「みかん」の「触感」を再現!

指でつまむと「柔らかい」触感に

✅サポート材をはがしてプリント完成
(4)スプレーでへた・茎を緑色に塗る

・スプレーがおすすめな理由
✅色がしっかり付く。
✅スプレーを紙に吹きかけ、それを爪楊枝で取って、みかんに塗るとキレイに塗れます。
(5)色や硬さを変えてほかの野菜も製作可能!

高価な教材を購入しなくても、3Dプリンターなら安価に製作可能!
色を変えて出力することで、見た目のリアルさを強調することも可能です。緑色でオクラ、オレンジ色でにんじんなど、視覚的にもわかりやすい教材に仕上げられます。
6.袋詰め練習用みかんを使ってみた効果

✅支援現場でみかんのサンプル7個を袋に詰める練習を実施。
✅徐々に個数を増やしたり、大きさを不揃いにして難易度を上げていきます。
- 安心感:失敗しても果物が傷まず、安心して繰り返し挑戦できる
- 効率性:同じ条件で練習できるため、上達が早い
- コスト削減:食材を使わないので費用が抑えられる
- 自信回復:「できた!」という達成感が作業意欲につながる

✅同じ条件で、何度も練習できるのが助かる
✅失敗しても大丈夫なので、安心して取り組める
✅特別な器具を買わなくても、工夫次第で十分サポートできるんですね!
7.活用シーン:福祉施設・家庭・子どもの袋詰め練習におすすめ
- 就労支援施設での袋詰め作業練習として
- 学校や特別支援学級での知育教材として
- 作業療法の教材として
~ちょっと補足~
作業療法の観点からも、この「果物サンプル」は大きな意味を持ちます。作業療法では食事や着替え、袋詰めなどの生活動作そのものを「作業」と位置づけ、繰り返し練習することで自立を支援します。このサンプルを使えば、失敗を恐れず反復でき、成功体験が自信につながります。3Dプリンターを活用すれば、現場のニーズに合わせた教材を低コストかつ短期間で作成できるため、実際の支援やリハビリの現場でも応用可能です。
8.よくある質問(FAQ)
Q1. CADが使えないのですが?
→ AI画像から3Dモデルを生成するサービス(Tripoなど)も活用できます。ただし形状や寸法にこだわりがある場合、CADを覚えて自作するのがおすすめです。
★ご相談いただければ可能な範囲でCAD作成のお手伝いします!遠慮なくご連絡ください!
Q2. 子どもでも扱えますか?
→ 3歳未満は誤飲の危険があるためNG。小学生以上なら安全に練習可能です。
Q3. フィラメントはPLAでも可能ですか?
→ 可能です。柔らかい触感はなくなりますが、PLAの方が早く安定して印刷ができ、安価です。
9.まとめ:3Dプリント練習用みかんで袋詰め作業をもっと楽しく効率的に!
今回ご紹介した「練習用みかん」は、高価な器具に頼らず、3Dプリンターで簡単に作れるツールです。
袋詰め作業は小さな工夫で大きく改善できます。第1弾の袋ホルダと併用すれば、より効果的にサポートできます。
👉 第1弾:【支援ツール工作】100均素材で袋詰め補助具を自作(袋ホルダ編)
👉 第2弾:【支援ツール工作】3Dプリンタで袋詰め補助具を自作!(オクラ編)
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